耐力壁線とは水平構面(屋根構面)の床倍率検討に必要な情報
耐力壁線とは各階X軸方向・Y軸方向に直線上に設定する耐力壁のラインです。量的な基準を満たすものではなく、その先の計算である水平構面の検討に必要な情報です。(許容応力度計算では鉛直構面の検討もします。)
耐力壁線は性能表示制度や許容応力度計算に必要となる事項で、建築基準法に記載はありません。
有効な耐力壁線となる基準(性能表示制度の場合)
①耐力壁の倍率を含んだ壁量(長さ×壁倍率)が奥行き長さの0.6倍以上かつ4m以上。
計算例:
壁量⇒1.82m(1間)×2.5倍=4.55m
奥行き⇒4.55m(2間3尺)÷0.6=7.58m
答え:
2.5倍の耐力壁が1.82mあれば、7.28m(4間)の奥行き長さの建物に対し有効な耐力壁線になります。
②耐力壁線間距離は8m以下(筋違いを使う場合):耐力壁線と耐力壁線の間隔です。外壁のラインは基準を満たさなくても可です。
③耐力壁線から1m以内の耐力壁は加算して有効耐力壁線にすることができます。
耐力壁線間隔が狭いほど有利
水平構面は耐力壁線に挟まれた区間単位で検討します。耐力壁線間隔が狭いほど必要な床倍率(床や屋根の強度)は小さくなります。
現実的には同一の水平構面を計画し、床倍率が不足する場合に耐力壁線を増やしたり床倍率の高い材料を追加します。
水平構面における床倍率は加算できる
水平構面の仕様はそれぞれ加算することができます。2階床の水平構面であれば、構造用合板下地の床倍率と水平ブレースの床倍率を合計するなど選択肢は自由です。