流行(はやり)や見た目で自然素材の家を選ばない方がいい。という話
はっきり言って自然素材にはクセがある。性質とも言える。無垢(むく)の床材は汚れやすいし、傷つきやすいし、季節によって伸び縮みする。無垢の梁は割れて、大きな音がすることもある。左官壁が削れて床が汚れることもある。
ワックスで床をコーティングしたり、凹んだ木を水で修復する方法もあるが、生活上の汚れや傷を全てカバーするのは無理だ。
自然素材の家に住むには、大らかさと覚悟が必要
例えば小さな子供が無垢の床に醤油をこぼした時、ワックスをかけたばかりでもなければ、間違いなく醤油の跡が残る。その時に『また家族の思い出が増えちゃったね(笑)』なんて、笑って済ませられる方は自然素材の家に向いてるし、逆に『また汚れちゃったよ。。。』と感じる方は向いてません。
多かれ少なかれ『家だって時間と共に汚れたり、傷が付く』という感覚が絶対必要なんです。最近は耳にしませんが、子供の身長を柱に書くような、あの感覚です。
自然素材以外の製品が劣ってるワケではない。むしろ凄いと思う。
例えばフローリングと言っても数え切れないほど種類があって、その特徴 も様々です。木なのかどうか分からないモノから、技術力の結晶のような製品まで。そして多くは汚れや傷に強くて、伸び縮みなんてしません。木材の印象は残 しつつメンテナンス不要な製品に仕上げてるなんて、ほんとに凄いですよね。
なぜ自然素材が好きなのか?
私の祖母の住まいは本当に昔ながらの家でした。玄関から土間に入って、板の間によじ登ってから和室で腰をおろす、みたいな。フローリングなんて存在しない時代の建物なので、床も柱も無垢材で壁は漆喰(しっくい)塗りでした。
現代の住宅に比べると不便な点は多かったですが、『建材を使ってるから換気しなきゃ!』とか『接着剤が塗ってあるからさ触らない方がいい』なんて気にする必要はありませんでした。
私にとって住まいとは絶対的に安全な場所です。疲れて仕事から帰ったら何も気にせずに安心できる場所・小さい子供が間違えて舐めてしまっても心配する必要のない場所。
そんな住まいを実現するには自然素材を使うしか選択肢がないのです。