住宅にトイレを計画する時に考えるコト


住宅のプランニングを行う際、トイレは実にテキトーに計画されがち。建物全体に比べると面積が小さいし、実際のところ構造計画が許す範囲で容易に計画できるからです。弊社の企画プランではトイレはホールか廊下に面して計画しています。当たり前です。当たり前だけど、その理由を少し紹介します。

私、佐藤は学生時代から足を痛めることが多く、包帯の巻き方はプロ級です。そんな経験から自然と『足が痛い時も使い易いトイレ』が弊社の設計ルールになっています。具体的には

1.トイレは横から入ること


トイレの出入り口は便器の正面ではなく、便器の横。これは便器に座るまでの動作を単純にするためです。便器正面からトイレに入ると座るときに体を180度回転させなければならない。一方、便器横からトイレに入ると90度の回転で座ることができますよね。

2.トイレの入り口は引戸


建具がドアのトイレは入室する際に、ドアの前で前後移動が起こります。足にケガを負っている時、余計な動きは減らしたいのでトイレの出入り口は引戸です。

トイレの場所を考える


トイレを計画する場所にもいくつかのルールがあります。

1-建築界の普遍的ルール。トイレは居室(リビング、寝室、個室など)に面して計画しない。
トイレはプライバシー性の高いスペースである上に音やにおいにも注意しなければいけません。リビングや個室の隣にトイレがあったら、使う人も居室にいる人も気を使っちゃいますよね。ですので、トイレは居室とは離れた場所に計画しなければいけません。

2-できれば避けたいルール。来客に備えて玄関ホールに面して計画しない。
家族が玄関で来客の対応をしている時にトイレに出入りするのは気が引ける、という感覚はありますよね。親しくはないけど外で話すのは失礼にあたる方など、玄関の中に招くこともあると思います。そんな時にトイレを使うのはちょっと気になるので玄関ホールにトイレは計画しない。

ただし、このルールは『2階のトイレを使う』や、『そもそも自分の家で来客を優先する必要はない』など合理的な考えもあります。弊社の考えはまさにコレで、ほとんどのプランでトイレは玄関ホールに計画しています。
例外として、4540プランなど大きな面積のプランでは居室にも玄関にも面しない場所にトイレを計画できます(建築基準法上キッチンは居室なのですが、そこは見逃してください)。

3-将来にそなえて。トイレの前には広い場所があるといい。
将来、何かしらの介護が必要になった時、足にケガを負った時、お子さんを授かった時などに備えてトイレの手前には広いスペースがあると出入りが楽です。介護者が動くためにはトイレ前に広いスペースが必要になるため、余裕のある場所にトイレは計画しなければなりません。玄関ホールにトイレを計画する理由の一つです。

ダメなプラン例


一見すべてがまとまっているプランでも、実際には何もわかってないプランが上のような計画図。というか弊社の過去のボツプランです。上のプランでは便器正面に出入口のドアがある上に、LDKに面していますね。最悪です。(ちなみにダメな部分はもっとあるのですが、それはまたの機会にします。)

以上、弊社のトイレ設計ルールでした。建築主の皆さんがプランを見た時に、ん?と思っていただければ嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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