木造住宅の梁サイズを決める3つの方法
テレビや雑誌で床を転がるビー玉を見たことがあります。建築用語では「不陸事故」と言われ、床が水平でない状況を指します。
不陸事故の原因はたくさん考えられますが、その一つは梁サイズです(梁成)。驚くことに建築基準法には木造の梁サイズ規定がなく、建築関係者は主に下記3つの方法で梁サイズを決定しています。
間四の法(けんしのほう)
間四の法とは昔から伝わる考え方で、1間(約1820mm)の長さで4寸(約120mm)の梁サイズとします。自由度が高い反面、曖昧な部分も多く、少し不安が残る略算法です。
スパン表
スパン表とは樹種やモジュールによって分けられた表の中から梁が負担する面積に合わせてサイズを選択する方法です。
スパン表は各地に存在する独自のものや建築関係の財団法人が発行するものなど、多種類あります。
許容応力度計算による方法
許容応力度計算とは構造計算の一種で、屋根や床の荷重・梁が負担する面積などを検討し、木材が許容できる断面を計算によって導き出します。3つの方法の中では最も精密な検討ができます。
当事務所ではスパン表と許容応力度計算の一部を導入しています。
木造住宅の場合、2階建てかつ500㎡以下の建物で性能表示制度を利用しない建物であれば、スパン表や許容応力度計算を検討する義務はありません。しかし、間四の法や言い伝えによる方法は曖昧な部分が多く、木造に関する深い知識がある人でなければ危険側の設計になりかねません。
家づくりの際には、建築士がどの方法を採用しているかぜひチェックしたいですね。